あーるのあーだこーで。

コーデ週記と日々のこと。

痛い暗い。キリキリする。映画「ビジランテ」感想。

久々にガツンとくる映画を見てしまった。

いつものようにあらすじ割愛、ネタバレ前提で書いていきます。


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「ギフテッド」と迷ってこちらに。二児の母としては

-非凡な才能を持ち合わせた子どもをどう育てたらいちばん幸せなのか?を探して対立していく家族の姿-

を描くギフテッドの方が感情移入出来るだろうけど、何だか現実とかけ離れたものを見たい気分だった。もちろんギフテッドもまだ見たいけど、ひとりで出掛ける日は親子向け上映には絶対に入らない方が優先。

 

で、凄く気になってたビジランテです。

-父親の死をキッカケに集まった3兄弟が、遺産の土地を巡ってそれぞれの思惑が絡み合っていく―

入江監督は最初のサイタマノラッパー以来。大作を撮る売れっ子になったなぁと思っていたらこのオリジナル。

 

ビジランテ=自警団。それぞれが護りたいものはそれぞれの理屈であるけれど、その果てが辛すぎる。

 

不穏な旋律で幕開け、大っ嫌いなタイプ笑の曲が流れる虚ろなタイトルロール。

最低限で感情を誘導するような音楽はないです。とにかく画で。

 

トリプル主演と銘打ってますが、際だってるのが三男の桐谷健太。優しくて不器用で真っ直ぐで男らしくて。だから上手く立ち回れない。何があっても絶対助けに来てくれる、そんな男です。何があっても。その後ろ姿が焼き尽くラストシーンが…演じるご本人言うところの「絶望的に格好いい」。絶望しかないですよ、あんな最後、最期?三郎の生き様が映し出されたシーン。

 

次郎ちゃんはね、背負いこむもの多過ぎでしょ。この後彼はどうなっちゃうのか考えるのも怖いです。全て飲み込んで父親みたいな男に…なっていくのか、なるしかない運命なのか。あのスピーチは用意していた言葉だろうけど色んな意味が乗っかって…あの目がいちばん語ってる。

篠田麻里子演じる妻はどこまで何をやったのか…。

 

相当にヤバいやつだったのは長男の一郎。落ちぶれて帰ってきた筈なのに謎のプライド。三郎が「今度飯でも」ってカップを渡すシーンに弱みを見せたくない(見えまくってるけど)兄の姿が見えて。

 

だーれもマトモな人が居ないのよ。

荒廃した地方都市って本当にこんななのか?と思わせるリアリティとこんなにバンバンやられるかね?っていう映画的な世界とのバランス。ここまで文字通り血を見ることはなくても多かれ少なかれ、長い者に巻かれ権力が渦巻く世界っていうのは転がっているのだと思う。

 

一時も見逃したくない緊張感で釘付けでしたが、お箸のシーンだけは目を覆ってしまいました。薄目で見た三郎のねじ曲がった顔。そこまでで限界。

 

単純におすすめはし辛いし、ハッキリ描いていない部分も多いから分かりやすい話でもない。だけど、見終えてからずっと色んなシーンを反芻してこの映画のことが頭から離れない。まぁ、感想もまとまらないよね…という勢いのまま書き連ねるしかなかった衝撃作です。

 

そうそう。

監督と桐谷健太が同い年で、という記事を幾つか見たけれどへー…なんて思った自分も同い年だった。改めてびっくりするよね、どう生きても同い年笑。既に次回作も楽しみです。

 

火花は…どうしよう。これ見ちゃったしドラマも見てるし。

500日のサマー好きなので、こちらも見たいです。

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